2010年11月26日
自らが病弱であることを知っている『零』は、
今のこのおぞましい体躯じゃなくなった時には、
自ら死が訪れることを知っています。
それでも、人として生きるために死にたいと言葉を漏らす零。
ほぼ体の内部を豚のそれと入れ替えられた少女の望みは、
『死にたい』ということ。
その意思は、人間ならではのものなのかもしれません。
その最期の瞬間に着飾って死ぬことができれば……と、
少女らしい願望を胸に抱く零。
切なくも、切実な願いです。
その一方で、自らの意思で、自分の健康的な臓器と零の臓器を入れ替えた華音。その軋みは、零より華音のほうにより響いています。
自分の体が壊れて、精神も壊れていくことを自覚する華音。
だけどそれ以上に、彼女が愛する『尾崎』の作品の一部となれたことに喜びを感じています。
女性の、『愛する人に愛されたい』の欲求が、壊れることで歪みを帯びながら、段々と肥大していきます。
自分の体が破滅へと向かっていることに、気づいているからこそかもしれません。
死を望む気持ちが高まった零は、屋上へと向かいます。
死を求めて。
その現場を見咎める華音と尾崎。
最初、華音は諦観した表情を見せるけれど、すぐに零に侮蔑の表情を向けてきます。
「だけれど、そこから空を飛ぶ人はね……少ないの。
死を具体的に受け止めて、初めて、怖じ気づいて、生きることに執着する」
看護師として、幾重の死を見た華音なりの生と死についての価値観が語られます。
ある日、礼拝堂で華音のために祈る零。
どうして彼女は自分の臓器を欲しがるのか。
理解しながらも、納得しきれていない零は、
彼女のために祈ります。
自分の悪い部分が華音に移っていくことで、壊れていく華音を思って。
それを知った華音は自分が同情されていることに逆上し、
零をさらに凌辱へと駆り立てていきます。
ただ、零は凌辱されるための存在だとしても、
ただの一兵卒である華音に、勝手な権限は許されていません。
あくまで『軍の実験体』である零に勝手な振る舞いを行った罰として、
“彼女と同じになりたい”願いを持つ華音が代わりに凌辱されていきます。
華音の処女はあっさりと散らされ、更に華音は壊れていき──。
壊れかけた華音がとった何気ない行動が、
周りを巻き込んで更に狂気を駆り立てていきます。
救いのない物語の中で零が見つけた小さな『感謝の言葉』。
ぜひプレイして確かめてみてください!
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