2015年08月05日
本日8月5日(水)、シンガーソングライター・霜月はるかさんのメジャーデビュー10周年を記念したベストアルバムが発売されました。
幅広いメディアにて活躍する霜月はるかさん。同人音楽も含めて570曲を超える歌唱楽曲の中から選りすぐりの楽曲が、大きな4 軸となるジャンル別に4枚のベストアルバムとして収録されています。4枚をセットにして特典満載の「PREMIUM COMPLETE BOX」も用意されていますよ。
こちらの発売にあわせ、霜月はるかさんよりお話を伺ってまいりました。ぜひご覧くださいませ。
◆霜月はるかメジャーデビュー10周年ベストアルバム
「SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST」インタビュー
―それではよろしくお願いします。まずはデビュー10周年、おめでとうございます。
霜月さん ありがとうございます! 実を言うとPCゲームのお仕事だったり、同人活動自体は2001年頃から行なっていました。なのでデビューとしては曖昧なんですが、2005年の9月に個人名義で「あしあとリズム」というメジャーアルバムを発売させていただき、それを霜月はるかのメジャーデビューとして数えて10周年とさせて頂いています。
―たしかに2005年以前にもPCゲームなどの楽曲を歌っていらっしゃったよなと記憶していたので、納得いたしました。それらの活動を最初にアルバムという形にしたのが「あしあとリズム」ということですね。
霜月さん そうですね、今回のベストアルバムはひとつの節目として、同人も含めてこれまでに行なってきた活動を包括するという意味で作りました。なので、2005年以前に歌った楽曲も収録させて頂いています。
―なるほど。ベストアルバムはジャンルごとに4枚同時に発売、収録曲もあわせて60曲と大変な曲数になっています。10年以上前の楽曲となると、改めて聞く機会というのもなかなか無いですよね。
霜月さん そうなんですが、その時に楽曲を聴いてくださった方にとって、その曲は人生における色褪せない“おもいで”になっていることもあって。このベストアルバムを作る際に収録曲のリクエストを頂いたんですが、懐かしい曲にもたくさんの投票を頂いたり、その思い入れを伝えていただけて、その曲をずっと好きで居てくださる方がいらっしゃる事を実感しました。それがすごく嬉しかったですね。
―収録曲に関してファンからのリクエストも受け付けたんですね。
霜月さん 同人活動も含めて、570曲以上を歌わせて頂いてきて、ジャンルごとに分けたとしてもかなりの曲数があり、私だけの意見で選んでも偏っちゃうよな、と。メーカーさんの許可など頂く必要もあり、必ずしも反映できるわけではなかったんですが、可能な限りご要望を取り入れられたらいいなと。選曲する上で、リクエストは非常に助かりました(笑)
―それでは各アルバムごとにお話いただければと思います。まずは「ANIME GAME CD SONGS」から。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 ANIME GAME CD SONGS 〜】
【収録曲】
01. カザハネ(2008 年 / TV アニメ「H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-」ED)
02. LUNA(2005 年 / PS2 用ゲーム「カルタグラ〜魂ノ苦悩〜」OP)
03. Startup(2014 年 / 本格派ブラウザRPG「かんぱに☆ガールズ」OP)
04. 白夜幻想譚(2004 年 / PS2 用ゲーム「イリスのアトリエ エターナルマナ」OP)
05. -HISTORIA-(2010 年 / ニンテンドーDS 用ゲーム「ラジアントヒストリア」ED)
06. 夢色コースター(2009 年 / アーケードゲーム「太鼓の達人13」収録[ 初出]
【 アーケードゲーム「太鼓の達人」[※2015 年 8 月時点 新筐体 ] / WiiU「太鼓の達人 特盛り!」/ Wii「太鼓の達人 Wii みんなでパーティ☆ 3 代目!」 など「太鼓の達人」シリーズに収録】)
07. life(2008 年 / TV アニメ「H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-」グランドED)
08. ネプトリュード(Class::NEPTLUDE=>extends.TX_CLUSTERS/.)
( 2012 年 / PSVita 用ゲーム「Ciel nosurge 〜失われた星へ捧ぐ詩〜」挿入歌)
09. 透明シェルター(2004 年 / TV アニメ「ローゼンメイデン」ED / ref io+ 霜月はるか名義)
10. Hartes ciel, melenas walasye.(2007 年 / PS2 用ゲーム「アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩」挿入歌)
11. my home(2006 年 / CD「ひぐらしのなく頃に イメージアルバム かけらむすび」収録 北条沙都子イメージソング)
12. 遥かな空間へ(2011 年 / PSP 用ゲーム「勇者30 SECOND」挿入歌)
13. Astral Flow(2012 年 / CD「MF 文庫 J10 周年記念イメージソングコンピレーションアルバム うたJ」収録「 星刻の竜騎士」イメージソング)
14. schwarzweiβ〜霧の向こうに繋がる世界〜
( 2006 年 / CD「霧の向こうに繋がる世界」収録 / PS2 用ゲーム「イリスのアトリエ グランファンタズム」OP / 霜月はるか†Revo名義)
15. いつかのひかり(2008 年 / CD「アカイイトイメージCD いつかのひかり」収録)
16. 星のいのち(2015 年 / 本アルバム書き下ろし曲)
霜月さん タイトルの通り、アニメやコンシューマゲーム、CD企画に関連して私が歌わせて頂いた曲を収録しています。いろんなお仕事をさせて頂いている中で、ここで私のことを知っていただいた方が一番多いのかなと思います。タイアップする作品ごとに求められるものに答えた曲を歌うので、楽曲の幅も広くて一番バラエティに富んだアルバムになっています。
とはいえ、10年間の活動を収めたベストアルバムという形としてはいろんな要素が楽しめたほうがいいので、収録する楽曲の年数も重ならないようにしています。「霜月はるかってこういった作品でも歌っていたんだな」と改めて知ってもらう意味でも、RPGやADV、音ゲーといったジャンルも多岐にわたるよう選曲しました。
―コンシューマゲームですとガストさんの作品で歌われている印象が強かったりします。
霜月さん ガストさんとの関わりはやっぱり深くて歌った曲数も一番多かったんですが、ベストアルバムでその楽曲ばかりになってしまうのは避けなくてはいけなくて、泣く泣く4曲までしぼりました。
―アニメ楽曲としては、どのような曲が収録されていますか?
霜月さん 個人名義としては、2008年に放送されたTV アニメ「H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-」から2曲が入っているんですが、その前にrefio+ 霜月はるか名義で2004年に歌ったTV アニメ「ローゼンメイデン」EDテーマ「透明シェルター」を収録しています。これが本当にアニメの初仕事で、いろんなきっかけになった曲でもあります。「ローゼンメイデン」自体が一般的に認知して頂いたきっかけの作品でもあり、霜月はるかとしてキーになった楽曲なので、今回収録できて良かったです。
―リクエストで人気のあった曲というと?
霜月さん サイトで上位5位まですでに発表しているんですが、1位だったのは「schwarzweiβ〜霧の向こうに繋がる世界〜」でした。Revoさんとコラボした曲で、Sound Horizonの活動も含めて一番多くの人に聴いて頂いている楽曲だし、人気があるのも納得でした。
―やっぱりすごい特徴があってすぐにRevoさんとわかるし、記憶に残る曲ですよね。
霜月さん こうやってコラボさせていただけたのもいろんなきっかけになり、人生を変えた楽曲と行っても過言ではないかなと思います。その他に上位に上がってきた曲についても、「ああ、この曲も私の人生を変えたよね」と思うような、キーになる曲が多かったのが印象的でしたね。
―同じようにファンにとっても印象深い楽曲なんでしょうね。
そういった楽曲が集まる中で、このアルバムのための新曲も用意されています。
霜月さん 4枚のベストアルバムでそれぞれ新曲を歌わせていただきました。
「MESSAGE SONGS」の新曲については、10周年の記念になる楽曲をもともと自分で書きおろそうと考えていて。他のベストアルバムに関しては、やっぱりどこかのメーカー、作家さんに寄りすぎはしたくないなと。加えて、このタイミングで自分にとって意味のあることをしたいと思った時に、いままで楽曲制作をご一緒したことがないけれど、自分の音楽にものすごく影響を与えた、自分の人生にとってのキーパーソンが何人かいらっしゃるなと思いました。なので、それぞれのジャンルにおいて、そういう方にお声がけしてみたいなと。
「ANIME GAME CD SONGS」は、もともと私はゲームが好きで、ゲーム音楽を聴いて育ちました。その中でも新曲「星のいのち」をお願いした光田康典さんは、『クロノ・トリガー』などのゲームを遊びながら楽曲を聞いていました。その光田さんのアレンジアルバムや『クロノ・クロス』の楽曲にアイリッシュなどトラッドカラーの強い楽曲があり、「こういう曲、好きだ!」と気付いて。アイリッシュやケルティックのミュージシャンや楽器に興味を持ち始めたきっかけが、光田さんの音楽だったんです。そんな自分の音楽的ルーツにもなった方なので、イベント出演などでご一緒する機会はあったんですがいつか一緒に音楽を作りたいなと。
―たしかにゲームのBGMは、ボーカル曲とは違う意味で記憶に残るというか、刷り込まれる気がします。『ドラゴンクエスト』のクラシックな感じしかり、『ファイナルファンタジー』のロックな感じしかり、光田さんのトラッドな楽曲しかり。
霜月さん 当時は音楽の知識もあまりなかったけれども、ゲームで触れたことで「こんな感じの楽曲が好きだな」と思えたことがその後にとっても大きかったと思います。今回、光田さんに楽曲をお願いすることになって、やっぱりトラッドな曲調でオファーをさせていただき、実際の楽曲も理想の形になり、感無量でした。
歌詞は自分で書いているんですが、光田さんの曲が壮大でさわやかなトラッド・ロックっだたので、そのイメージに引きずられるように自然の中に溶け込むような歌詞になりました。
光田さんに限らず他のベストアルバムの新曲もそうなんですが、初めてご一緒させていただくのでお互いにどう作っていくのか、どういう表現、どういうイメージがいいのか、最初は手探りになりました。でも現場ではどのように進めていくのか目の前で見れるので勉強になりました。実際の収録では、お互いにイメージの相違もなくスムーズに歌わせていただきました。
―現場は想像つかない部分なんですが、やっぱりそれぞれ違うものなんですね。
霜月さん 全然違いますね。今回コラボさせて頂いたお三方でも、それぞれ違いました(笑)
私もそれなりに長く音楽活動をさせて頂いているので、いろんなやり方があるというのは経験しているんですが、新しい方とご一緒する度に勉強できることがあります。「こういうことにこだわる方なんだな」って、現場で実感できることが多くて、1曲でも楽曲制作をご一緒するとすごくその方の音楽に近づけたと感じます。その経験は財産になっていると思います。
―10年以上やってきて、いまでも新しいことに出会えるというのはとても素晴らしいことだと思います。
霜月さん 10年経っても、日々勉強です。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 PC GAME SONGS 〜】
【収録曲】
01. Re:Call(2014 年 / あかべぇそふとすりぃ「できない私が、くり返す。」OP)
02. SilentFlame(2005 年 / catwalk「魔王と踊れ!」OP)
03. Fractale Sequence(2012 年 / あっぷりけ「Re:birth colony -Lost azurite-」OP / Barbarian on the Groove feat. 霜月はるか名義)
04. ソレノイド(2013 年 / Innocent Grey「虚ノ少女」ED)
05. こんな春の空を(2008 年 / Lump of Sugar「タユタマ -Kiss on my Deity-」1stOP)
06. 想いのカナタ(2008 年 / ゆずソフト「夏空カナタ」OP)
07. a little more(2011 年 / HOOKSOFT「Strawberry Nauts」OP)
08. 追憶の破片(2004 年 / MOONSTONE「何処へ行くの、あの日」OP)
09. 箱庭ロジック(2014 年 / Cabbit「箱庭ロジック」OP)
10. Kaleidoscope(2010 年 / FAVORITE「星空のメモリア Eternal Heart」OP)
11. 風の理(2009 年 / RAM「5 - ファイブ-」OP)
12. 恋獄(2005 年 / Innocent Grey「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜」OP)
13. Loop Breaker(2015 年 / 本アルバム書き下ろし曲)
14. 最愛(2010 年 / Whirlpool「涼風のメルト」ED)
15. 瑠璃の鳥(2008 年 / Innocent Grey「殻ノ少女」主題歌)
―続いては「PC GAME SONGS」です。げっちゅブログの読者にとっては一番馴染み深い楽曲が収録されています。
霜月さん 一番最初にお仕事として歌わせていただいたのが、PCゲームの楽曲でした。それまでに同人活動を通して私のことを知ったメーカーさんからお話をいただき、その頃は自分の得意ジャンルというのもわかっておらず、いろんな曲を歌わせていただきました。その中で「シモツキンならこういうイメージの曲」というものが出来上がっていき、曲のカラーが固まっていきました。とはいえ、今回のベストアルバムでは一つのカラーに寄り過ぎないように選曲しています。曲としてはEDもたくさん歌っているんですが、フタを開けてみたらOPテーマが多くなりました(笑)
「PC GAME SONGS」は特にリクエストの結果を反映した選曲になっています。しっとりしたEDテーマもあるんですが、作品のカラーを表したキャッチーなOPテーマが多いかな。作品やメーカーさんごとのカラーが際立っているので、人気のある曲の傾向が自分でもよくわかっていなかったんですが、リクエストをもらうことで「この曲はこういうところが人気なんだな」とわかり、ユーザーさんに助けられながら選曲した1枚になっています。
―曲数が多い上に、作品・楽曲でそれぞれの方向性も違いますからね。
霜月さん 「PC GAME SONGS」は特に作品への思い入れが反映されるのかなと。PCゲームのファンの方は作品自体とのリンク具合、作品への思い入れが大きく感じました。リクエストでもその思いの丈を語ってくださっている方もいて、すごくありがたいなって。ゲームソングである以上、ゲームを遊んでこそ作品自体の魅力や歌詞の深い意味を感じてもらえるということでもあるので。なので、一番の理想はゲームと一緒に楽曲を楽しんでもらえることなんですが、今回のベストアルバムという形で楽曲からゲームに興味を持ってもらえたらいいなと思います。
―リクエストの傾向などはありましたか?
霜月さん 一番関わりが深いメーカーさんはやっぱりInnocent Greyさんなので、その楽曲への投票が多かったです。こちらも泣く泣く3曲までしぼりました。
―自分もきちんと霜月はるかさんの楽曲として認識したのは、Innocent Greyさんの「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜」からでした。
霜月さん ありがたくも処女作からずっと歌わせて頂いていて、本当にInnocent Greyさんにカラーを作ってもらったところもありますね。ブランドカラーも特徴的なメーカーさんなので、PC音楽の活動を行っていく上で私自身の個性にもなりました。
―そんな作品とリンクした楽曲の中で、新曲はゲームと関連していない楽曲になるかと思いますが、どのような楽曲でしょうか。
霜月さん ユーザーとして初めて遊んだPCゲームがKeyさんの『Kanon』や『AIR』だったんです。友達に「泣けるからやってみろ!」と言われて(笑)。男性向けの18禁作品ということで最初は抵抗はあったんですが、PCでプレイするビジュアルノベルというものに初めて触れて。音楽の素晴らしさやシナリオとのリンク、曲を聴いただけで泣けてくる作品ですぐに好きになりました。この体験がなかったら、その後にPCゲームのお仕事を頂いた際に、もしかしたら偏見を持っていたのかもしれない。PCゲームにもすばらしい音楽があると最初に思わせてくれたのが、Keyの作品でした。
―新曲「Loop Breaker」を作曲されている折戸伸治さんは、『Kanon』や『AIR』の楽曲を手がけた方ですね。
霜月さん ……やっぱり「鳥の詩」ですよ!好きでカバーさせていただいたりした時期もありました。いまはKeyさんともお仕事をさせて頂いているんですが、折戸さんとは楽曲制作の機会がなく、いつかご一緒したいと思っていました。
折戸さんのメロディがすごい好きで、ドラマチックなメロを書かれる方だなと。なのでドラマチックでライブでも盛り上がれるような曲とオファーさせていただいたら、折戸節が満載の楽曲を仕上げてくださいました。後からお聞きしたんですが、「ベタかもしれないけれど、自分のカラーをガッツリ入れた曲がいいんだろうなと思ったので、そうしました」とおっしゃっていました。
―自分で歌いたいもので、ユーザーから求められているものが合致した曲なんですね。
霜月さん 編曲を担当された塚越雄一朗(NanosizeMir)さんはKey作品でも色々とアレンジを手がけている方なんですが、こちらもドラマチックに仕上がっていて、非常にライブで盛り上がるいい曲になったと思います。
―ちょっとアルバムから離れますが、10年間PCゲームの楽曲を歌ってきて変わったことなどありますか?
霜月さん いっときに比べると減ったのかもしれないけれども、PCゲームって基本的にものすごく数が多いじゃないですか。
―確かに減ってはいますが、それでも毎月20〜30本の新作ゲームが発売されています。
霜月さん 以前と比べるとライブが増えました。前はメーカーさん主催のものも全然なかったんですが、ここ2,3年はメーカーさんも5周年・10周年と節目を迎えるところが多くて、それを記念したライブを開催していただける事が増えました。いままでは自分が歌っている楽曲をユーザーさんがどのように受け取っていただけているのか、わからないことが多かったんですね。でもメーカーさんのライブに出演することで、その反応を肌で感じることが出来た。それは私の中でも大きい経験になっています。
ファンのかたの反応、この曲を支持していただけていると実感するのって、音楽活動を続けていく上ですごく励みになります。なので、ライブでユーザーさんに直接、歌を届けられる機会が増えて嬉しいです。
―ご自身で行うライブとメーカーさんが行う(作品に紐付いた)ライブでは、やっぱり違いますか?
霜月さん 個人のライブは来てくださる方がかならずしもゲームを遊んでいるとは限らない。ゲームのユーザーさんは本当にその作品に対して思い入れを持っていただけているので、そんな方に直接届けられるのはやっぱり嬉しいです。
最近はメーカーの垣根を超えたライブフェスも増えて、PCゲームの楽曲を歌っている他の歌い手さんとご一緒したり、いろんなメーカーさんの作品で歌わせていただく機会も増えました。そういう機会がどんどん増えることで、PCゲーム音楽をより広げていくことができたらいいなって思います。
―PCゲームに触れる機会となると、どうしても少なくなってしまいます。なので音楽をきっかけとして入ってくる方が増えたら業界としても嬉しいですよね。
霜月さん PCゲームの楽曲は本当にたくさん歌わせて頂いてきて、皆さんから「この曲をライブで聴きたいです!」と声を頂いても、応えられないことも多いんですよね。なのでPCゲームメインのライブが増えると今までに生演奏したことがないような楽曲、すごく昔の楽曲だとしても、今の自分の表現で新しく伝えられる。そういうことが最近は増えてきて、それは長く続けてきて嬉しい事ですね。
なので、そういったライブイベントにも積極的に出演していきたいなと思っています。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 ORIGINAL FANTASY SONGS 〜】
【収録曲】
01. 消えない欠片(2009 年 / 霜月はるか「グリオットの眠り姫」収録)
02. 月追いの都市(2005 年 / tieLeaf「月追いの都市」収録)
03. ツナギ蝶(2010 年 / arcane753.「ツナギ蝶ノ塚」収録)
04. 護森人(2007 年 / 霜月はるか「ティンダーリアの種」収録)
05. ユラグソラ(2002 年 / Maple Leaf「ユラグソラ」収録)
06. お姫様と道化師(2009 年 / 霜月はるか「グリオットの眠り姫」収録)
07. 眠りの果ての蒼い花(2010 年 / サウンドストーリー「花想少女〜Lip-Aura〜」主題歌)
08. 緋色の薔薇(2013 年 / 霜月はるか「レムルローズの魔女」収録)
09. エルムの丘(2003 年 / 空色絵本・ref io「compiation3」収録)
10. 忘却の翼(2008 年 / Maple Leaf「ウィルド・ラッドの調べ」収録)
11. 蜘蛛の居る沼(2011 年 / arcane753.「虚木ノ咎人」収録)
12. 虚空が朽ちるまで(2013 年 / 霜月はるか「レムルローズの魔女」収録)
13. 捻子巻く時計が月の満ち欠けを刻む(2005 年 / tieLeaf「月追いの都市」収録)
14. ジルフェの子(2015 年 / 本アルバム書き下ろし曲)
15. いのちと約束(2007 年 / 霜月はるか「ティンダーリアの種」収録)
―「ORIGINAL FANTASY SONGS」はメジャーデビュー前の同人活動も含めての楽曲を収録したアルバムですね。
霜月さん 2001年から同人活動をしていて、その中でも幻想的な世界観や物語を音楽で表現するという活動を続けています。メジャーでも何枚かCDを発売させて頂いているんですが、そういった曲を集めてみました。オリジナルファンタジーは、私の活動の一つの軸として皆さんに認識していただけて、多くの方に応援していただけているので、今回のベストアルバムでも独立した1枚にしました。
オリジナルファンタジーの活動は1枚毎に世界観やキャラクターを変えてきたので、こうやって1枚でつまみ食いできるアルバムは初です。聴いて「この曲好きだな。どういった世界観なんだろう?」と導入として興味を持っていただいたら嬉しいです。
―オリジナルファンタジーの場合は1枚のアルバムを通しての表現だと思うので、その中から1曲だけを聴いて世界観を伝えるのは難しいところではありますね。以前の同人アルバムを改めて購入するのは可能なんでしょうか?
霜月さん 廃盤になっているものもありますが、大半は手に入るかなと。
確かに1曲だけだとストーリーなど伝わらない部分がありますが、楽曲としてファンタジックなものが好きな方に音楽として楽しんでもらいたいという意図もあります。
―ファンタジー音楽の活動の中で、メジャーアルバムですと近作の「レムルローズの魔女」は若干方向性の異なるアルバムになっているのかなと。
霜月さん その前にメジャーで出した「ティンダーリアの種」「グリオットの眠り姫」「零れる砂のアリア」の3作品が共通の世界観をもったアルバムだったので、それまでと違う世界観として、ダークでゴシックな方向に振ったアルバムですね。
今回のベストアルバムには、これまた違った世界観の楽曲も収録しています。ラグクーアシリーズと呼ばれているものの中からアルバム「月追いの都市」の2曲、「花想少女〜Lip-Aura〜」の1曲は、薄暗めなファンタジー世界。「ツナギ蝶」や「蜘蛛の居る沼」といった曲は和風ファンタジーなんです。
―なるほど、「ティンダーリアの種」からの3作品のイメージが強かったんですが、それぞれでかなり違う世界観なんですね。
霜月さん 「ユラグソラ」や「ウィルド・ラッドの調べ」はもともと私が高校時代から考えていた「SACRED DOORS」という世界観の曲ですが、こちらは民族調だったり。なので、いままでの同人活動を初めから追いかけていないと知らない作品群の導入盤として、今回のベストアルバムを聴いてもらえたらと思います。たぶんゲームが好きな方には、相性のいい曲ばかりなので。
―その中で新曲「ジルフェの子」は、どのような楽曲でしょうか。
霜月さん 私がこういったファンタジー世界の表現を音楽でやろうと思ったきっかけになったのが、ZABADAKというアーティストだったんです。いろんな楽曲を作られているんですが、聴いたら風景が脳内にワァーって広がる曲が多くて、音楽でこういうことってできるんだ!と好きになったんです。それが高校卒業から大学ぐらいの時期で、そこから音楽活動をしていこうと思いました。なので吉良知彦(ZABADAK)さんは、いつかご一緒できたらいいなと夢見ていた方でした。今回の新曲「ジルフェの子」でその夢が叶い、改めて考えると私の人生においてとても意義のあることでした(笑)
オファーとしては、吉良さんの音楽が本当に好きなので基本的にはお任せだったんですが、「ORIGINAL FANTASY SONGS」ということでざっくりとした設定はお渡ししました。「風の部族の女の子が旅をしていまして……」という脳内設定レベルでしたが、曲を頂いた上で少し調整する形で完成しました。
―新曲をお願いしたお三方には、霜月さんから直接依頼されたんでしょうか?
霜月さん こういうことは自分で直接伝えたほうがいいだろうと、私が直接メールをしました。気持ち悪いほど思いを込めた文面になってしまいましたが、嫌がられなくてよかったです(笑)。ありがたいことに皆さんからご快諾いただいたんですが、その時のニヤニヤした表情は誰にも見せられない(笑)
こういう10周年というタイミングで夢を叶えさせていただき、非常に嬉しかったです。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 MESSAGE SONGS 〜】
【収録曲】
01. あしあとリズム(2005 年 / 霜月はるか「あしあとリズム」収録)
02. 音のコンパス(2008 年 / 霜月はるか「音のコンパス」収録)
03. break time(2009 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe OP テーマ)
04. 終わりのない旅(2009 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe ED テーマ)
05. 導きのハーモニー(2010 年 / 霜月はるか「導きのハーモニー」収録)
06. 星空アンサンブル(2011 年 / 霜月はるか「星空アンサンブル」収録)
07. smile link(2011 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 1stOP テーマ)
08. Thanks a lot.(2011 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 1stED テーマ)
09. 想いのコンチェルト(2012 年 / 霜月はるか「想いのコンチェルト」収録)
10. piacere!(2013 年 / 霜月はるか solo version・「れっつごー☆シモツキン」収録)
11. Starting Voice(2014 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 2ndOP テーマ)
12. 変わらない場所(2014 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 2ndED テーマ)
13. なないろスコア(2014 年 / 霜月はるか「なないろスコア」収録)
14. Melody Line(本アルバム書き下ろし曲)
―4枚目の「MESSAGE SONGS」ですが、こちらはファンタジーとはまた違った形での個人の活動を集めたアルバムということで。
霜月さん いわゆるシンガーソングライターとしての曲ですが、自分自身の経験や気持ち、価値観が一番濃く出ているアルバムです。いままでにボーカルワークスアルバムという形で6枚出させて頂いているんですが、最初の「あしあとリズム」から、アルバム書き下ろし曲では自分の音楽活動を通して感じたことを自身で作詞・作曲して曲にするということを続けていました。それに加えて、WEBラジオ「Frost Moon Cafe」のOP・EDで自分の伝えたいことを曲にさせて頂いてきました。そういった私からのメッセージとなる楽曲が増えてきたので、この機会に1枚にまとめてみました。
他のベストアルバムに関しては、曲順や発表年数はバラバラなんですが、「MESSAGE SONGS」は発表年数ごとに並べて順番に聴いてもらうこともメッセージだろうと。自分で聴いていても「この時はこんなことを考えていたんだな。あんなことがあったな」ってわかりやすかったです。
―新曲の「Melody Line」が一番新しいメッセージになるかと思いますが、こちらはどんな曲でしょう。
霜月さん 10年続けてきてどんな曲にしようかと考えて、立ち位置的には「あしあとリズム」という最初のメッセージソングのアンサーになっています。メジャーデビューして10年間、これまでにいろんな波もあって、落ち込んだり思うように行かなかった時期も当然あって。でも続けてきたからこそ、夢を叶えて今回影響を受けた方とご一緒できたし、こうしてベストアルバムを出せました。その気持ちを伝えようと思い、単純なんですが「続けてきてよかった!」という曲を書きました(笑)
―曲名も「Melody Line」という、つながっているイメージが浮かぶものになっています。
霜月さん こういう活動、ひいては人生って“旅”のようなものだとずっと思っているんです。自分の音楽の足跡をつけてきて、それがメロディのようになっているイメージです。「あしあとリズム」から10年間続けてきて、そのメロディが今はどう変化しているか、リンクさせながら歌詞を書きました。
―実際の経験、現実の出来事を伝えるメッセージではあるんですが、こうやって音楽という表現にすることで、それもある種のファンタジーになるなって思いました。
霜月さん そうですよね。アルバムのジャケットをイラストレーターのTivさんに描いて頂く事が多いんですが、描かれている女の子は「音のコンパス」の時に私の声をイメージして作られたキャラクター(コンパスちゃん)です。実際にワークスベストアルバムの新曲を書く時、この女の子が歌っている曲としてもイメージしていて、それを意識して聴くとファンタジーな曲と思えるかもしれませんね。現実の自分自身とは別に、彼女自身も旅をしているわけですが、その旅の中でも私と同じような経験をし、同じように感じているのかなって。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST PREMIUM COMPLETE BOX】
<豪華10 大特典>
【特典1】特典DISC その1 霜月はるかアルバム書き下ろし新曲「Melody Line」ミュージックビデオ+メイキング映像収録DVD
【特典2】特典DISC その2 廃盤済の1st オリジナル自主制作アルバム・仮想RPG 曲集「SACRED DOORS vol.1」リマスタリング盤
【特典3】ベストアルバム4 枚+上記特典DISC2 枚を収納した豪華6 面デジパックCD ケース
【特典4】ベストアルバム4 枚分の収録曲全歌詞を掲載した特製ブックレット
【特典5】記念冊子「HISTORY OF SHIMOTSUKIN」 活動の歴史を振り返るロングインタビューや撮り下ろし写真、活動年表等を掲載
【特典6】10 周年記念バージョン・シモツキンぬいぐるみSS
【特典7】10 周年ロゴ入り記念メダル
【特典8】歴代シモツキンシール
【特典9】霜月はるか撮り下ろしアーティスト写真ポストカード(4 種)
【特典10】上記全てを収納する箔押し付豪華特製ボックス
―4枚をセットにして、特典も満載の限定版「PREMIUM COMPLETE BOX」も用意されています。すべての特典を紹介いただくと、これまた時間が無くなってしまいますので特徴的なものについてお話いただければ。
霜月さん 初めての挑戦として、「Melody Line」ミュージックビデオを撮影しました! 人生において初めての体験をここでもさせていただきました。「Melody Line」は自分の気持を素直に書いた楽曲、しかも“旅”というコンセプトがはっきりあったので、そのイメージを映像監督さんにお話してミュージックビデオを撮っていただきました。初めての体験であたふたしている私が見られるメイキング映像もふくめ、笑いながら見ていただけたら(笑)
でも自分が出演する映像で言いたかったことを表現するということは、いつかやってみたいと思っていたので、このタイミング実現できて良かったです。
―先ほど「ORIGINAL FANTASY SONGS」の中にはすでに廃盤となっているアルバムもあるとのことですが、特典DISC その2として「SACRED DOORS vol.1」リマスタリング盤が付いていますね。
霜月さん このアルバムはプレスせず、自分でPCでCDを量産してジャケットを付けて作っていたディスクです。今回復刻を決めた経緯としては、「SACRED DOORS」という曲は私が一番初めに作ったオリジナルファンタジー歌曲で、今回のリクエストで一位だったんですね。ただこの曲はショートバージョンしか無く、しかも2001年に作った曲でしかも自宅録音と、拙い部分がたくさんある楽曲でした。ショートバージョンしか無いのにベストアルバムの1曲として収録するのは抵抗があり、どうしようか悩みました。とはいえ、リクエストをたくさんもらったし、曲自体にも思い入れもあるし、廃盤しているので聴いたことがない方も多いだろうと。
このアルバムは自分の原点で、ファンタジーソングを書き始めるきっかけ、ゲーム音楽が好きで活動を始めたルーツを感じられる楽曲。ほとんどインストなんですが、初めて書いたボーカル曲もあり、本当に原点です。改めて聴くとこっ恥ずかしいところもたくさんあるんですが、その恥ずかしさも共有してもらおうかと(笑) そんな私の最初のパッションを聴いてもらえればいいなと思い、特典として収録を決めました。
−メジャーデビュー10周年の記念アルバムですが、限定版ではさらにさかのぼって霜月はるかさんの原点まで感じられる内容になっていると。
◆メジャーデビュー10周年 記念ライブ
―9月・10月・11月にはライブの開催も決定しています。
霜月さん 9月はアニメ・コンシューマゲーム・CD企画楽曲を中心に「side GREEN」、10月はPCゲーム楽曲を中心に「side RED」、11月はオリジナルファンタジーソング中心の「side BLUE」。それぞれベストアルバムのジャケットカラーとリンクしています。「MESSAGE SONGS」については各ライブに振り分けて、今回のアルバムに収録した楽曲をいっぱい歌う予定です。ジャンルによってカラーの違うステージになると思うし、演奏やアプローチも変わってくるかと。予定が合う方は、全部参加いただければそれぞれ違いを感じて楽しいかなと(笑)
「ANIME GAME CD SONGS」の緑、「PC GAME SONGS」の赤、ORIGINAL FANTASY SONGSの青は光の三原色なんですが、全てを混ぜあわせると「MESSAGE SONGS」の白色になります。つまりは、緑・赤・青とカラーは違うけど、全部私であり、それが重なる部分に私自身の価値観がある、というイメージです。ライブでは私のカラーを全部楽しんでいただければ嬉しいです。
―それでは最後にファンへのメッセージで締めたいと思います。よろしくお願いします。
霜月さん いままでの活動の節目として、こうしてアルバムにまとめられることが本当に幸せだと思います。こういった機会をいただけたのも、応援してくださった皆さんのおかげです。新曲をはじめ、いろんなジャンルの楽曲を収録したアルバムになっています。私の曲を何曲か聴いたことがあるという方も、どっぷり浸かって聴いてくださっている方も、末永く楽しんでいただけると思います。ぜひ「SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST」をゲットしてください! そしてライブにも遊びに来てください!!
―ありがとうございましたっ!
●霜月はるか 10th Anniversary Solo Live "Melody Line" 〜side GREEN〜
TV アニメ・コンシューマーゲーム・CD ソング中心ライブ
日程:2015 年9 月23 日(水・祝)開場:16:45 開演:17:30
会場:Zepp DiverCity(全席指定)
チケット料金:¥6,000+税
※入場時に別途ドリンク代がかかります
※3 歳以上有料
●霜月はるか 10th Anniversary Solo Live "Melody Line" 〜side RED〜
PC ゲームソング中心ライブ
日程:2015 年10 月24 日(土)開場:17:15 開演:18:00
会場:新宿BLAZE(オールスタンディング)
チケット料金:¥5,000+税
※整理番号付
※入場時に別途ドリンク代がかかります
※3 歳以上有料
●霜月はるか 10th Anniversary Solo Live "Melody Line" 〜side BLUE〜
オリジナルファンタジーソング中心ライブ
日程:2015 年11 月23 日(月・祝)開場:16:45 開演:17:30
会場:調布市グリーンホール(全席指定)
チケット料金:¥6,500+税
※オリジナルグッズ付
※3 歳以上有料
【お問い合わせ】キョードー東京 0570-550-799
★10 周年ベストアルバム『SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST』に
チケット先行予約情報封入決定!チケット一般発売は8月22日より各プレイガイドにてスタート。詳しくは特設サイトをご覧下さい。
◆関連サイト
霜月はるかメジャーデビュー10 周年特設サイト
「SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST」インタビュー
―それではよろしくお願いします。まずはデビュー10周年、おめでとうございます。
霜月さん ありがとうございます! 実を言うとPCゲームのお仕事だったり、同人活動自体は2001年頃から行なっていました。なのでデビューとしては曖昧なんですが、2005年の9月に個人名義で「あしあとリズム」というメジャーアルバムを発売させていただき、それを霜月はるかのメジャーデビューとして数えて10周年とさせて頂いています。
―たしかに2005年以前にもPCゲームなどの楽曲を歌っていらっしゃったよなと記憶していたので、納得いたしました。それらの活動を最初にアルバムという形にしたのが「あしあとリズム」ということですね。
霜月さん そうですね、今回のベストアルバムはひとつの節目として、同人も含めてこれまでに行なってきた活動を包括するという意味で作りました。なので、2005年以前に歌った楽曲も収録させて頂いています。
―なるほど。ベストアルバムはジャンルごとに4枚同時に発売、収録曲もあわせて60曲と大変な曲数になっています。10年以上前の楽曲となると、改めて聞く機会というのもなかなか無いですよね。
霜月さん そうなんですが、その時に楽曲を聴いてくださった方にとって、その曲は人生における色褪せない“おもいで”になっていることもあって。このベストアルバムを作る際に収録曲のリクエストを頂いたんですが、懐かしい曲にもたくさんの投票を頂いたり、その思い入れを伝えていただけて、その曲をずっと好きで居てくださる方がいらっしゃる事を実感しました。それがすごく嬉しかったですね。
―収録曲に関してファンからのリクエストも受け付けたんですね。
霜月さん 同人活動も含めて、570曲以上を歌わせて頂いてきて、ジャンルごとに分けたとしてもかなりの曲数があり、私だけの意見で選んでも偏っちゃうよな、と。メーカーさんの許可など頂く必要もあり、必ずしも反映できるわけではなかったんですが、可能な限りご要望を取り入れられたらいいなと。選曲する上で、リクエストは非常に助かりました(笑)
―それでは各アルバムごとにお話いただければと思います。まずは「ANIME GAME CD SONGS」から。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 ANIME GAME CD SONGS 〜】
【収録曲】
01. カザハネ(2008 年 / TV アニメ「H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-」ED)
02. LUNA(2005 年 / PS2 用ゲーム「カルタグラ〜魂ノ苦悩〜」OP)
03. Startup(2014 年 / 本格派ブラウザRPG「かんぱに☆ガールズ」OP)
04. 白夜幻想譚(2004 年 / PS2 用ゲーム「イリスのアトリエ エターナルマナ」OP)
05. -HISTORIA-(2010 年 / ニンテンドーDS 用ゲーム「ラジアントヒストリア」ED)
06. 夢色コースター(2009 年 / アーケードゲーム「太鼓の達人13」収録[ 初出]
【 アーケードゲーム「太鼓の達人」[※2015 年 8 月時点 新筐体 ] / WiiU「太鼓の達人 特盛り!」/ Wii「太鼓の達人 Wii みんなでパーティ☆ 3 代目!」 など「太鼓の達人」シリーズに収録】)
07. life(2008 年 / TV アニメ「H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-」グランドED)
08. ネプトリュード(Class::NEPTLUDE=>extends.TX_CLUSTERS/.)
( 2012 年 / PSVita 用ゲーム「Ciel nosurge 〜失われた星へ捧ぐ詩〜」挿入歌)
09. 透明シェルター(2004 年 / TV アニメ「ローゼンメイデン」ED / ref io+ 霜月はるか名義)
10. Hartes ciel, melenas walasye.(2007 年 / PS2 用ゲーム「アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩」挿入歌)
11. my home(2006 年 / CD「ひぐらしのなく頃に イメージアルバム かけらむすび」収録 北条沙都子イメージソング)
12. 遥かな空間へ(2011 年 / PSP 用ゲーム「勇者30 SECOND」挿入歌)
13. Astral Flow(2012 年 / CD「MF 文庫 J10 周年記念イメージソングコンピレーションアルバム うたJ」収録「 星刻の竜騎士」イメージソング)
14. schwarzweiβ〜霧の向こうに繋がる世界〜
( 2006 年 / CD「霧の向こうに繋がる世界」収録 / PS2 用ゲーム「イリスのアトリエ グランファンタズム」OP / 霜月はるか†Revo名義)
15. いつかのひかり(2008 年 / CD「アカイイトイメージCD いつかのひかり」収録)
16. 星のいのち(2015 年 / 本アルバム書き下ろし曲)
霜月さん タイトルの通り、アニメやコンシューマゲーム、CD企画に関連して私が歌わせて頂いた曲を収録しています。いろんなお仕事をさせて頂いている中で、ここで私のことを知っていただいた方が一番多いのかなと思います。タイアップする作品ごとに求められるものに答えた曲を歌うので、楽曲の幅も広くて一番バラエティに富んだアルバムになっています。
とはいえ、10年間の活動を収めたベストアルバムという形としてはいろんな要素が楽しめたほうがいいので、収録する楽曲の年数も重ならないようにしています。「霜月はるかってこういった作品でも歌っていたんだな」と改めて知ってもらう意味でも、RPGやADV、音ゲーといったジャンルも多岐にわたるよう選曲しました。
―コンシューマゲームですとガストさんの作品で歌われている印象が強かったりします。
霜月さん ガストさんとの関わりはやっぱり深くて歌った曲数も一番多かったんですが、ベストアルバムでその楽曲ばかりになってしまうのは避けなくてはいけなくて、泣く泣く4曲までしぼりました。
―アニメ楽曲としては、どのような曲が収録されていますか?
霜月さん 個人名義としては、2008年に放送されたTV アニメ「H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-」から2曲が入っているんですが、その前にrefio+ 霜月はるか名義で2004年に歌ったTV アニメ「ローゼンメイデン」EDテーマ「透明シェルター」を収録しています。これが本当にアニメの初仕事で、いろんなきっかけになった曲でもあります。「ローゼンメイデン」自体が一般的に認知して頂いたきっかけの作品でもあり、霜月はるかとしてキーになった楽曲なので、今回収録できて良かったです。
―リクエストで人気のあった曲というと?
霜月さん サイトで上位5位まですでに発表しているんですが、1位だったのは「schwarzweiβ〜霧の向こうに繋がる世界〜」でした。Revoさんとコラボした曲で、Sound Horizonの活動も含めて一番多くの人に聴いて頂いている楽曲だし、人気があるのも納得でした。
―やっぱりすごい特徴があってすぐにRevoさんとわかるし、記憶に残る曲ですよね。
霜月さん こうやってコラボさせていただけたのもいろんなきっかけになり、人生を変えた楽曲と行っても過言ではないかなと思います。その他に上位に上がってきた曲についても、「ああ、この曲も私の人生を変えたよね」と思うような、キーになる曲が多かったのが印象的でしたね。
―同じようにファンにとっても印象深い楽曲なんでしょうね。
そういった楽曲が集まる中で、このアルバムのための新曲も用意されています。
霜月さん 4枚のベストアルバムでそれぞれ新曲を歌わせていただきました。
「MESSAGE SONGS」の新曲については、10周年の記念になる楽曲をもともと自分で書きおろそうと考えていて。他のベストアルバムに関しては、やっぱりどこかのメーカー、作家さんに寄りすぎはしたくないなと。加えて、このタイミングで自分にとって意味のあることをしたいと思った時に、いままで楽曲制作をご一緒したことがないけれど、自分の音楽にものすごく影響を与えた、自分の人生にとってのキーパーソンが何人かいらっしゃるなと思いました。なので、それぞれのジャンルにおいて、そういう方にお声がけしてみたいなと。
「ANIME GAME CD SONGS」は、もともと私はゲームが好きで、ゲーム音楽を聴いて育ちました。その中でも新曲「星のいのち」をお願いした光田康典さんは、『クロノ・トリガー』などのゲームを遊びながら楽曲を聞いていました。その光田さんのアレンジアルバムや『クロノ・クロス』の楽曲にアイリッシュなどトラッドカラーの強い楽曲があり、「こういう曲、好きだ!」と気付いて。アイリッシュやケルティックのミュージシャンや楽器に興味を持ち始めたきっかけが、光田さんの音楽だったんです。そんな自分の音楽的ルーツにもなった方なので、イベント出演などでご一緒する機会はあったんですがいつか一緒に音楽を作りたいなと。
―たしかにゲームのBGMは、ボーカル曲とは違う意味で記憶に残るというか、刷り込まれる気がします。『ドラゴンクエスト』のクラシックな感じしかり、『ファイナルファンタジー』のロックな感じしかり、光田さんのトラッドな楽曲しかり。
霜月さん 当時は音楽の知識もあまりなかったけれども、ゲームで触れたことで「こんな感じの楽曲が好きだな」と思えたことがその後にとっても大きかったと思います。今回、光田さんに楽曲をお願いすることになって、やっぱりトラッドな曲調でオファーをさせていただき、実際の楽曲も理想の形になり、感無量でした。
歌詞は自分で書いているんですが、光田さんの曲が壮大でさわやかなトラッド・ロックっだたので、そのイメージに引きずられるように自然の中に溶け込むような歌詞になりました。
光田さんに限らず他のベストアルバムの新曲もそうなんですが、初めてご一緒させていただくのでお互いにどう作っていくのか、どういう表現、どういうイメージがいいのか、最初は手探りになりました。でも現場ではどのように進めていくのか目の前で見れるので勉強になりました。実際の収録では、お互いにイメージの相違もなくスムーズに歌わせていただきました。
―現場は想像つかない部分なんですが、やっぱりそれぞれ違うものなんですね。
霜月さん 全然違いますね。今回コラボさせて頂いたお三方でも、それぞれ違いました(笑)
私もそれなりに長く音楽活動をさせて頂いているので、いろんなやり方があるというのは経験しているんですが、新しい方とご一緒する度に勉強できることがあります。「こういうことにこだわる方なんだな」って、現場で実感できることが多くて、1曲でも楽曲制作をご一緒するとすごくその方の音楽に近づけたと感じます。その経験は財産になっていると思います。
―10年以上やってきて、いまでも新しいことに出会えるというのはとても素晴らしいことだと思います。
霜月さん 10年経っても、日々勉強です。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 PC GAME SONGS 〜】
【収録曲】
01. Re:Call(2014 年 / あかべぇそふとすりぃ「できない私が、くり返す。」OP)
02. SilentFlame(2005 年 / catwalk「魔王と踊れ!」OP)
03. Fractale Sequence(2012 年 / あっぷりけ「Re:birth colony -Lost azurite-」OP / Barbarian on the Groove feat. 霜月はるか名義)
04. ソレノイド(2013 年 / Innocent Grey「虚ノ少女」ED)
05. こんな春の空を(2008 年 / Lump of Sugar「タユタマ -Kiss on my Deity-」1stOP)
06. 想いのカナタ(2008 年 / ゆずソフト「夏空カナタ」OP)
07. a little more(2011 年 / HOOKSOFT「Strawberry Nauts」OP)
08. 追憶の破片(2004 年 / MOONSTONE「何処へ行くの、あの日」OP)
09. 箱庭ロジック(2014 年 / Cabbit「箱庭ロジック」OP)
10. Kaleidoscope(2010 年 / FAVORITE「星空のメモリア Eternal Heart」OP)
11. 風の理(2009 年 / RAM「5 - ファイブ-」OP)
12. 恋獄(2005 年 / Innocent Grey「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜」OP)
13. Loop Breaker(2015 年 / 本アルバム書き下ろし曲)
14. 最愛(2010 年 / Whirlpool「涼風のメルト」ED)
15. 瑠璃の鳥(2008 年 / Innocent Grey「殻ノ少女」主題歌)
―続いては「PC GAME SONGS」です。げっちゅブログの読者にとっては一番馴染み深い楽曲が収録されています。
霜月さん 一番最初にお仕事として歌わせていただいたのが、PCゲームの楽曲でした。それまでに同人活動を通して私のことを知ったメーカーさんからお話をいただき、その頃は自分の得意ジャンルというのもわかっておらず、いろんな曲を歌わせていただきました。その中で「シモツキンならこういうイメージの曲」というものが出来上がっていき、曲のカラーが固まっていきました。とはいえ、今回のベストアルバムでは一つのカラーに寄り過ぎないように選曲しています。曲としてはEDもたくさん歌っているんですが、フタを開けてみたらOPテーマが多くなりました(笑)
「PC GAME SONGS」は特にリクエストの結果を反映した選曲になっています。しっとりしたEDテーマもあるんですが、作品のカラーを表したキャッチーなOPテーマが多いかな。作品やメーカーさんごとのカラーが際立っているので、人気のある曲の傾向が自分でもよくわかっていなかったんですが、リクエストをもらうことで「この曲はこういうところが人気なんだな」とわかり、ユーザーさんに助けられながら選曲した1枚になっています。
―曲数が多い上に、作品・楽曲でそれぞれの方向性も違いますからね。
霜月さん 「PC GAME SONGS」は特に作品への思い入れが反映されるのかなと。PCゲームのファンの方は作品自体とのリンク具合、作品への思い入れが大きく感じました。リクエストでもその思いの丈を語ってくださっている方もいて、すごくありがたいなって。ゲームソングである以上、ゲームを遊んでこそ作品自体の魅力や歌詞の深い意味を感じてもらえるということでもあるので。なので、一番の理想はゲームと一緒に楽曲を楽しんでもらえることなんですが、今回のベストアルバムという形で楽曲からゲームに興味を持ってもらえたらいいなと思います。
―リクエストの傾向などはありましたか?
霜月さん 一番関わりが深いメーカーさんはやっぱりInnocent Greyさんなので、その楽曲への投票が多かったです。こちらも泣く泣く3曲までしぼりました。
―自分もきちんと霜月はるかさんの楽曲として認識したのは、Innocent Greyさんの「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜」からでした。
霜月さん ありがたくも処女作からずっと歌わせて頂いていて、本当にInnocent Greyさんにカラーを作ってもらったところもありますね。ブランドカラーも特徴的なメーカーさんなので、PC音楽の活動を行っていく上で私自身の個性にもなりました。
―そんな作品とリンクした楽曲の中で、新曲はゲームと関連していない楽曲になるかと思いますが、どのような楽曲でしょうか。
霜月さん ユーザーとして初めて遊んだPCゲームがKeyさんの『Kanon』や『AIR』だったんです。友達に「泣けるからやってみろ!」と言われて(笑)。男性向けの18禁作品ということで最初は抵抗はあったんですが、PCでプレイするビジュアルノベルというものに初めて触れて。音楽の素晴らしさやシナリオとのリンク、曲を聴いただけで泣けてくる作品ですぐに好きになりました。この体験がなかったら、その後にPCゲームのお仕事を頂いた際に、もしかしたら偏見を持っていたのかもしれない。PCゲームにもすばらしい音楽があると最初に思わせてくれたのが、Keyの作品でした。
―新曲「Loop Breaker」を作曲されている折戸伸治さんは、『Kanon』や『AIR』の楽曲を手がけた方ですね。
霜月さん ……やっぱり「鳥の詩」ですよ!好きでカバーさせていただいたりした時期もありました。いまはKeyさんともお仕事をさせて頂いているんですが、折戸さんとは楽曲制作の機会がなく、いつかご一緒したいと思っていました。
折戸さんのメロディがすごい好きで、ドラマチックなメロを書かれる方だなと。なのでドラマチックでライブでも盛り上がれるような曲とオファーさせていただいたら、折戸節が満載の楽曲を仕上げてくださいました。後からお聞きしたんですが、「ベタかもしれないけれど、自分のカラーをガッツリ入れた曲がいいんだろうなと思ったので、そうしました」とおっしゃっていました。
―自分で歌いたいもので、ユーザーから求められているものが合致した曲なんですね。
霜月さん 編曲を担当された塚越雄一朗(NanosizeMir)さんはKey作品でも色々とアレンジを手がけている方なんですが、こちらもドラマチックに仕上がっていて、非常にライブで盛り上がるいい曲になったと思います。
―ちょっとアルバムから離れますが、10年間PCゲームの楽曲を歌ってきて変わったことなどありますか?
霜月さん いっときに比べると減ったのかもしれないけれども、PCゲームって基本的にものすごく数が多いじゃないですか。
―確かに減ってはいますが、それでも毎月20〜30本の新作ゲームが発売されています。
霜月さん 以前と比べるとライブが増えました。前はメーカーさん主催のものも全然なかったんですが、ここ2,3年はメーカーさんも5周年・10周年と節目を迎えるところが多くて、それを記念したライブを開催していただける事が増えました。いままでは自分が歌っている楽曲をユーザーさんがどのように受け取っていただけているのか、わからないことが多かったんですね。でもメーカーさんのライブに出演することで、その反応を肌で感じることが出来た。それは私の中でも大きい経験になっています。
ファンのかたの反応、この曲を支持していただけていると実感するのって、音楽活動を続けていく上ですごく励みになります。なので、ライブでユーザーさんに直接、歌を届けられる機会が増えて嬉しいです。
―ご自身で行うライブとメーカーさんが行う(作品に紐付いた)ライブでは、やっぱり違いますか?
霜月さん 個人のライブは来てくださる方がかならずしもゲームを遊んでいるとは限らない。ゲームのユーザーさんは本当にその作品に対して思い入れを持っていただけているので、そんな方に直接届けられるのはやっぱり嬉しいです。
最近はメーカーの垣根を超えたライブフェスも増えて、PCゲームの楽曲を歌っている他の歌い手さんとご一緒したり、いろんなメーカーさんの作品で歌わせていただく機会も増えました。そういう機会がどんどん増えることで、PCゲーム音楽をより広げていくことができたらいいなって思います。
―PCゲームに触れる機会となると、どうしても少なくなってしまいます。なので音楽をきっかけとして入ってくる方が増えたら業界としても嬉しいですよね。
霜月さん PCゲームの楽曲は本当にたくさん歌わせて頂いてきて、皆さんから「この曲をライブで聴きたいです!」と声を頂いても、応えられないことも多いんですよね。なのでPCゲームメインのライブが増えると今までに生演奏したことがないような楽曲、すごく昔の楽曲だとしても、今の自分の表現で新しく伝えられる。そういうことが最近は増えてきて、それは長く続けてきて嬉しい事ですね。
なので、そういったライブイベントにも積極的に出演していきたいなと思っています。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 ORIGINAL FANTASY SONGS 〜】
【収録曲】
01. 消えない欠片(2009 年 / 霜月はるか「グリオットの眠り姫」収録)
02. 月追いの都市(2005 年 / tieLeaf「月追いの都市」収録)
03. ツナギ蝶(2010 年 / arcane753.「ツナギ蝶ノ塚」収録)
04. 護森人(2007 年 / 霜月はるか「ティンダーリアの種」収録)
05. ユラグソラ(2002 年 / Maple Leaf「ユラグソラ」収録)
06. お姫様と道化師(2009 年 / 霜月はるか「グリオットの眠り姫」収録)
07. 眠りの果ての蒼い花(2010 年 / サウンドストーリー「花想少女〜Lip-Aura〜」主題歌)
08. 緋色の薔薇(2013 年 / 霜月はるか「レムルローズの魔女」収録)
09. エルムの丘(2003 年 / 空色絵本・ref io「compiation3」収録)
10. 忘却の翼(2008 年 / Maple Leaf「ウィルド・ラッドの調べ」収録)
11. 蜘蛛の居る沼(2011 年 / arcane753.「虚木ノ咎人」収録)
12. 虚空が朽ちるまで(2013 年 / 霜月はるか「レムルローズの魔女」収録)
13. 捻子巻く時計が月の満ち欠けを刻む(2005 年 / tieLeaf「月追いの都市」収録)
14. ジルフェの子(2015 年 / 本アルバム書き下ろし曲)
15. いのちと約束(2007 年 / 霜月はるか「ティンダーリアの種」収録)
―「ORIGINAL FANTASY SONGS」はメジャーデビュー前の同人活動も含めての楽曲を収録したアルバムですね。
霜月さん 2001年から同人活動をしていて、その中でも幻想的な世界観や物語を音楽で表現するという活動を続けています。メジャーでも何枚かCDを発売させて頂いているんですが、そういった曲を集めてみました。オリジナルファンタジーは、私の活動の一つの軸として皆さんに認識していただけて、多くの方に応援していただけているので、今回のベストアルバムでも独立した1枚にしました。
オリジナルファンタジーの活動は1枚毎に世界観やキャラクターを変えてきたので、こうやって1枚でつまみ食いできるアルバムは初です。聴いて「この曲好きだな。どういった世界観なんだろう?」と導入として興味を持っていただいたら嬉しいです。
―オリジナルファンタジーの場合は1枚のアルバムを通しての表現だと思うので、その中から1曲だけを聴いて世界観を伝えるのは難しいところではありますね。以前の同人アルバムを改めて購入するのは可能なんでしょうか?
霜月さん 廃盤になっているものもありますが、大半は手に入るかなと。
確かに1曲だけだとストーリーなど伝わらない部分がありますが、楽曲としてファンタジックなものが好きな方に音楽として楽しんでもらいたいという意図もあります。
―ファンタジー音楽の活動の中で、メジャーアルバムですと近作の「レムルローズの魔女」は若干方向性の異なるアルバムになっているのかなと。
霜月さん その前にメジャーで出した「ティンダーリアの種」「グリオットの眠り姫」「零れる砂のアリア」の3作品が共通の世界観をもったアルバムだったので、それまでと違う世界観として、ダークでゴシックな方向に振ったアルバムですね。
今回のベストアルバムには、これまた違った世界観の楽曲も収録しています。ラグクーアシリーズと呼ばれているものの中からアルバム「月追いの都市」の2曲、「花想少女〜Lip-Aura〜」の1曲は、薄暗めなファンタジー世界。「ツナギ蝶」や「蜘蛛の居る沼」といった曲は和風ファンタジーなんです。
―なるほど、「ティンダーリアの種」からの3作品のイメージが強かったんですが、それぞれでかなり違う世界観なんですね。
霜月さん 「ユラグソラ」や「ウィルド・ラッドの調べ」はもともと私が高校時代から考えていた「SACRED DOORS」という世界観の曲ですが、こちらは民族調だったり。なので、いままでの同人活動を初めから追いかけていないと知らない作品群の導入盤として、今回のベストアルバムを聴いてもらえたらと思います。たぶんゲームが好きな方には、相性のいい曲ばかりなので。
―その中で新曲「ジルフェの子」は、どのような楽曲でしょうか。
霜月さん 私がこういったファンタジー世界の表現を音楽でやろうと思ったきっかけになったのが、ZABADAKというアーティストだったんです。いろんな楽曲を作られているんですが、聴いたら風景が脳内にワァーって広がる曲が多くて、音楽でこういうことってできるんだ!と好きになったんです。それが高校卒業から大学ぐらいの時期で、そこから音楽活動をしていこうと思いました。なので吉良知彦(ZABADAK)さんは、いつかご一緒できたらいいなと夢見ていた方でした。今回の新曲「ジルフェの子」でその夢が叶い、改めて考えると私の人生においてとても意義のあることでした(笑)
オファーとしては、吉良さんの音楽が本当に好きなので基本的にはお任せだったんですが、「ORIGINAL FANTASY SONGS」ということでざっくりとした設定はお渡ししました。「風の部族の女の子が旅をしていまして……」という脳内設定レベルでしたが、曲を頂いた上で少し調整する形で完成しました。
―新曲をお願いしたお三方には、霜月さんから直接依頼されたんでしょうか?
霜月さん こういうことは自分で直接伝えたほうがいいだろうと、私が直接メールをしました。気持ち悪いほど思いを込めた文面になってしまいましたが、嫌がられなくてよかったです(笑)。ありがたいことに皆さんからご快諾いただいたんですが、その時のニヤニヤした表情は誰にも見せられない(笑)
こういう10周年というタイミングで夢を叶えさせていただき、非常に嬉しかったです。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST 〜 MESSAGE SONGS 〜】
【収録曲】
01. あしあとリズム(2005 年 / 霜月はるか「あしあとリズム」収録)
02. 音のコンパス(2008 年 / 霜月はるか「音のコンパス」収録)
03. break time(2009 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe OP テーマ)
04. 終わりのない旅(2009 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe ED テーマ)
05. 導きのハーモニー(2010 年 / 霜月はるか「導きのハーモニー」収録)
06. 星空アンサンブル(2011 年 / 霜月はるか「星空アンサンブル」収録)
07. smile link(2011 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 1stOP テーマ)
08. Thanks a lot.(2011 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 1stED テーマ)
09. 想いのコンチェルト(2012 年 / 霜月はるか「想いのコンチェルト」収録)
10. piacere!(2013 年 / 霜月はるか solo version・「れっつごー☆シモツキン」収録)
11. Starting Voice(2014 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 2ndOP テーマ)
12. 変わらない場所(2014 年 / WEB ラジオ「霜月はるかのFrost Moon Cafe+ 2ndED テーマ)
13. なないろスコア(2014 年 / 霜月はるか「なないろスコア」収録)
14. Melody Line(本アルバム書き下ろし曲)
―4枚目の「MESSAGE SONGS」ですが、こちらはファンタジーとはまた違った形での個人の活動を集めたアルバムということで。
霜月さん いわゆるシンガーソングライターとしての曲ですが、自分自身の経験や気持ち、価値観が一番濃く出ているアルバムです。いままでにボーカルワークスアルバムという形で6枚出させて頂いているんですが、最初の「あしあとリズム」から、アルバム書き下ろし曲では自分の音楽活動を通して感じたことを自身で作詞・作曲して曲にするということを続けていました。それに加えて、WEBラジオ「Frost Moon Cafe」のOP・EDで自分の伝えたいことを曲にさせて頂いてきました。そういった私からのメッセージとなる楽曲が増えてきたので、この機会に1枚にまとめてみました。
他のベストアルバムに関しては、曲順や発表年数はバラバラなんですが、「MESSAGE SONGS」は発表年数ごとに並べて順番に聴いてもらうこともメッセージだろうと。自分で聴いていても「この時はこんなことを考えていたんだな。あんなことがあったな」ってわかりやすかったです。
―新曲の「Melody Line」が一番新しいメッセージになるかと思いますが、こちらはどんな曲でしょう。
霜月さん 10年続けてきてどんな曲にしようかと考えて、立ち位置的には「あしあとリズム」という最初のメッセージソングのアンサーになっています。メジャーデビューして10年間、これまでにいろんな波もあって、落ち込んだり思うように行かなかった時期も当然あって。でも続けてきたからこそ、夢を叶えて今回影響を受けた方とご一緒できたし、こうしてベストアルバムを出せました。その気持ちを伝えようと思い、単純なんですが「続けてきてよかった!」という曲を書きました(笑)
―曲名も「Melody Line」という、つながっているイメージが浮かぶものになっています。
霜月さん こういう活動、ひいては人生って“旅”のようなものだとずっと思っているんです。自分の音楽の足跡をつけてきて、それがメロディのようになっているイメージです。「あしあとリズム」から10年間続けてきて、そのメロディが今はどう変化しているか、リンクさせながら歌詞を書きました。
―実際の経験、現実の出来事を伝えるメッセージではあるんですが、こうやって音楽という表現にすることで、それもある種のファンタジーになるなって思いました。
霜月さん そうですよね。アルバムのジャケットをイラストレーターのTivさんに描いて頂く事が多いんですが、描かれている女の子は「音のコンパス」の時に私の声をイメージして作られたキャラクター(コンパスちゃん)です。実際にワークスベストアルバムの新曲を書く時、この女の子が歌っている曲としてもイメージしていて、それを意識して聴くとファンタジーな曲と思えるかもしれませんね。現実の自分自身とは別に、彼女自身も旅をしているわけですが、その旅の中でも私と同じような経験をし、同じように感じているのかなって。
【SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST PREMIUM COMPLETE BOX】
<豪華10 大特典>
【特典1】特典DISC その1 霜月はるかアルバム書き下ろし新曲「Melody Line」ミュージックビデオ+メイキング映像収録DVD
【特典2】特典DISC その2 廃盤済の1st オリジナル自主制作アルバム・仮想RPG 曲集「SACRED DOORS vol.1」リマスタリング盤
【特典3】ベストアルバム4 枚+上記特典DISC2 枚を収納した豪華6 面デジパックCD ケース
【特典4】ベストアルバム4 枚分の収録曲全歌詞を掲載した特製ブックレット
【特典5】記念冊子「HISTORY OF SHIMOTSUKIN」 活動の歴史を振り返るロングインタビューや撮り下ろし写真、活動年表等を掲載
【特典6】10 周年記念バージョン・シモツキンぬいぐるみSS
【特典7】10 周年ロゴ入り記念メダル
【特典8】歴代シモツキンシール
【特典9】霜月はるか撮り下ろしアーティスト写真ポストカード(4 種)
【特典10】上記全てを収納する箔押し付豪華特製ボックス
―4枚をセットにして、特典も満載の限定版「PREMIUM COMPLETE BOX」も用意されています。すべての特典を紹介いただくと、これまた時間が無くなってしまいますので特徴的なものについてお話いただければ。
霜月さん 初めての挑戦として、「Melody Line」ミュージックビデオを撮影しました! 人生において初めての体験をここでもさせていただきました。「Melody Line」は自分の気持を素直に書いた楽曲、しかも“旅”というコンセプトがはっきりあったので、そのイメージを映像監督さんにお話してミュージックビデオを撮っていただきました。初めての体験であたふたしている私が見られるメイキング映像もふくめ、笑いながら見ていただけたら(笑)
でも自分が出演する映像で言いたかったことを表現するということは、いつかやってみたいと思っていたので、このタイミング実現できて良かったです。
―先ほど「ORIGINAL FANTASY SONGS」の中にはすでに廃盤となっているアルバムもあるとのことですが、特典DISC その2として「SACRED DOORS vol.1」リマスタリング盤が付いていますね。
霜月さん このアルバムはプレスせず、自分でPCでCDを量産してジャケットを付けて作っていたディスクです。今回復刻を決めた経緯としては、「SACRED DOORS」という曲は私が一番初めに作ったオリジナルファンタジー歌曲で、今回のリクエストで一位だったんですね。ただこの曲はショートバージョンしか無く、しかも2001年に作った曲でしかも自宅録音と、拙い部分がたくさんある楽曲でした。ショートバージョンしか無いのにベストアルバムの1曲として収録するのは抵抗があり、どうしようか悩みました。とはいえ、リクエストをたくさんもらったし、曲自体にも思い入れもあるし、廃盤しているので聴いたことがない方も多いだろうと。
このアルバムは自分の原点で、ファンタジーソングを書き始めるきっかけ、ゲーム音楽が好きで活動を始めたルーツを感じられる楽曲。ほとんどインストなんですが、初めて書いたボーカル曲もあり、本当に原点です。改めて聴くとこっ恥ずかしいところもたくさんあるんですが、その恥ずかしさも共有してもらおうかと(笑) そんな私の最初のパッションを聴いてもらえればいいなと思い、特典として収録を決めました。
−メジャーデビュー10周年の記念アルバムですが、限定版ではさらにさかのぼって霜月はるかさんの原点まで感じられる内容になっていると。
◆メジャーデビュー10周年 記念ライブ
―9月・10月・11月にはライブの開催も決定しています。
霜月さん 9月はアニメ・コンシューマゲーム・CD企画楽曲を中心に「side GREEN」、10月はPCゲーム楽曲を中心に「side RED」、11月はオリジナルファンタジーソング中心の「side BLUE」。それぞれベストアルバムのジャケットカラーとリンクしています。「MESSAGE SONGS」については各ライブに振り分けて、今回のアルバムに収録した楽曲をいっぱい歌う予定です。ジャンルによってカラーの違うステージになると思うし、演奏やアプローチも変わってくるかと。予定が合う方は、全部参加いただければそれぞれ違いを感じて楽しいかなと(笑)
「ANIME GAME CD SONGS」の緑、「PC GAME SONGS」の赤、ORIGINAL FANTASY SONGSの青は光の三原色なんですが、全てを混ぜあわせると「MESSAGE SONGS」の白色になります。つまりは、緑・赤・青とカラーは違うけど、全部私であり、それが重なる部分に私自身の価値観がある、というイメージです。ライブでは私のカラーを全部楽しんでいただければ嬉しいです。
―それでは最後にファンへのメッセージで締めたいと思います。よろしくお願いします。
霜月さん いままでの活動の節目として、こうしてアルバムにまとめられることが本当に幸せだと思います。こういった機会をいただけたのも、応援してくださった皆さんのおかげです。新曲をはじめ、いろんなジャンルの楽曲を収録したアルバムになっています。私の曲を何曲か聴いたことがあるという方も、どっぷり浸かって聴いてくださっている方も、末永く楽しんでいただけると思います。ぜひ「SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST」をゲットしてください! そしてライブにも遊びに来てください!!
―ありがとうございましたっ!
●霜月はるか 10th Anniversary Solo Live "Melody Line" 〜side GREEN〜
TV アニメ・コンシューマーゲーム・CD ソング中心ライブ
日程:2015 年9 月23 日(水・祝)開場:16:45 開演:17:30
会場:Zepp DiverCity(全席指定)
チケット料金:¥6,000+税
※入場時に別途ドリンク代がかかります
※3 歳以上有料
●霜月はるか 10th Anniversary Solo Live "Melody Line" 〜side RED〜
PC ゲームソング中心ライブ
日程:2015 年10 月24 日(土)開場:17:15 開演:18:00
会場:新宿BLAZE(オールスタンディング)
チケット料金:¥5,000+税
※整理番号付
※入場時に別途ドリンク代がかかります
※3 歳以上有料
●霜月はるか 10th Anniversary Solo Live "Melody Line" 〜side BLUE〜
オリジナルファンタジーソング中心ライブ
日程:2015 年11 月23 日(月・祝)開場:16:45 開演:17:30
会場:調布市グリーンホール(全席指定)
チケット料金:¥6,500+税
※オリジナルグッズ付
※3 歳以上有料
【お問い合わせ】キョードー東京 0570-550-799
★10 周年ベストアルバム『SHIMOTSUKIN 10th Anniversary BEST』に
チケット先行予約情報封入決定!チケット一般発売は8月22日より各プレイガイドにてスタート。詳しくは特設サイトをご覧下さい。
◆関連サイト
霜月はるかメジャーデビュー10 周年特設サイト